Archive for 5月, 2013

日米安保下、植民地下沖縄での 橋下発言。 その構造的現在地 

橋下市長、米軍・米国民にだけ謝罪。 橋下市長問責決議案。ん? 橋下発言への友の指摘は核心を突いている。                                                                                                  大阪市議会の自民・民主・共産が橋下市長問責決議案を出すそうだ。昭和の戦争を「侵略」とは言えないとする人々、「従軍慰安婦」制度に「軍の関与は無かった」と言う人々が「うようよ」居る自民党には、つくづく「?」とは思うのだが、どうかこの機会に「歴史認識」(を歴史家に任すのではなく)を一から深く考えるキッカケにしてもらいたい。市民も、識者も、学者も、誰も、政治家という職業・立場が歴史認識と無関係に成立しうるなどとは全く思わないのだ。                                                                                                                                          橋下市長は従軍慰安婦と軍(と当時の政府)との関係について、会見で「施設の管理」「従事者の移動」「慰安婦の募集を民間へ依頼」に関して、「軍」が行なった、と言い、拉致・監禁などを行なって、強制的に拘束した事実を示す証拠は無い、と言っていた。それは充分、「軍」の管理・実行じゃあないか!

「慰安婦を『私』が必要と言ったのではなく」「『戦時においては』女性を必要としていたのではないかと発言した」ところ、マスコミに「『私』が容認していると」誤報された、とも言っている。                                                                                            ちょっと待った。「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、どこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」との発言(5/13定例会見)は、マスコミの誤報・デッチ上げなのか? ハッキリさせなさい。                                                                                                               維新は、問責決議が可決されれば、市長辞任・再選挙だと恫喝しているそうな。懲りない面々だなぁ~。                                                                    追記:                                                                                                                                                  夜のニュース報道によれば決議案に賛成するはずだった公明党が反対に転じ、「問責」の文言を抜いた独自案を提出。それぞれ否決されたそうだ。出直し市長選による市政混乱は良くないというのが、その理由だそうだ。来る参院選と同時期は困る、参院選の維新との全国的選挙協力への思惑・・・等々だそうで、勝手にしてくれ!

ところで、橋下氏の「従軍慰安婦」発言が沖縄米軍への「風俗活用の勧め」とほぼ同時期になされた意味について、友人が深い見解を述べているので紹介する。橋下言動の核心だと思う。全く同感!                                                                                                                                                          沖縄の人々にはしない「撤回・謝罪」を、米政府・米軍・米国民にだけ行なう姿勢には、元の発言と同じ植民地観に基づく「思想性」「宗主国性」がハッキリと表れている。

M氏の見解

橋下発言の核心は、「今現在、日米安保維持のために沖縄で最も必要なのは、風俗という名の売春であるのは自明のことである」ので、それを言うためにかっての日本軍の「慰安婦」とされた人たちのことまで持ち出して語ったということだと思います。                                                                                                   植民地沖縄に対する宗主国ニッポンの一人の政治家として、宗主国の安全のために、強制収用で作った基地(土地・空間・社会・危険・軍事)の提供に加えて、植民地沖縄の女性を、かつての先勝国の男に差し出しますからよろしく、と言っているのです。

 

橋下氏の表現の自由・・・

憲法21条:                                                                                                                       1、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。                                                                                                           2、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

橋下氏の一連の言動に対して大阪弁護士会所属の弁護士たちが、大阪弁護士会に「懲戒請求」を起こす予定だ。                                                                                                                                         懲戒請求の準備を進める弁護士によると、橋下氏の慰安婦に関する発言と、在日米軍に風俗業活用を求めた件は、基本的人権を無視し、女性を差別しているなどと指摘。弁護士法が規定する「弁護士の品位を害する行為」に該当するとしている。同弁護士会は請求を受け、審査の対象とすると判断した場合、懲戒委員会で業務停止や退会命令などの処分を決める。                                                                                                                               これに対して橋下氏は「まあ、これだけ表現の自由が守られている世の中で、発言、表現だけをとらえて懲戒請求を出すことのほうが、それこそ懲戒請求もんだ」 「今回は国政全般と歴史認識に関する個人の見解だ。それについてまで懲戒請求をやるっていうのは、ここまできたら懲戒請求の乱用だ」 「表現の自由に対する強烈なプレッシャー、重大な挑戦だ。弁護士がやることか」と反論している。

表現の自由? 特定の個人に向けた発言ではない?                                                                                                                                                       ここ数年街頭にまで登場して「特定の立場」の人・存在に対して、「表現の自由」(?)を盾に「劣等民族」「害虫」「奴隷の子孫」「国へ帰れ」「殺せ:」と叫ぶデモに遭遇、眉を顰めた経験を持つ人は多いだろう。                                                                                          これが、表現の自由の範囲内か?                                                                                                                   特定の集団や個人に対する不寛容・排除を煽る言動(ヘイトスピーチ)は西ヨーロッパでは厳しく規制されている。                                                                                                                                                                                       表現の自由は、あくまで他者も同時に持っていよう自由を排撃しないか、他者の基本的人権の否定・排除・攻撃の為の表現ではないか、「公」的公平性を維持しているか、現実に行なわないまでも刑事罰対象の犯罪に当たる行為(圧政に対する民衆の抗いを除く)を主張していないか、など多くの前提の上に保障される。

5月13日の橋本発言発端に際して各党が見解を述べたが、ここでは公明党山口委員長が、あれこれ橋本発言への解説を省いて最も的確簡潔に述べていた。「弁護士法第一条はこのように言っています。」と紹介した。公明党が好きなのではないが、これは的確だった。                                                                                                                                                                     『弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする』                                                                                                        この度の、大阪弁護士会への懲戒請求は妥当だと思う。                                          

ところで、橋下・石原・その他の発言で唯一「その通り」なのは、「軍と売春っていうのはもうつきものでね、歴史の原理みたいなものでさ。・・・」(5月14日、石原氏)だ。 その通り、それが戦争だ。戦争史を紐解けば、欧米・アジアを問わずそれが戦争なのだ。                                                                                                                                                                                                                              だから、どうなのかを言わぬまま「つきものなのだ」だけを言うなら何を言ったことにもならない。                                                              友人の友人である、優れたフリー・ライター井上理津子さんの毎日新聞特集ワイドのインタヴュー記事を掲載させていただきます。

差別、階層社会を肯定−−  フリーライター・井上理津子さん(毎日新聞 5月16日 東京夕刊)                   

一連の橋下氏の発言は、社会的弱者への差別や階層社会を肯定していると受け取らざるを得ません。「慰安婦になってしまった方への心情を理解して優しく配慮すべきだ」とも言いましたが「支配階層」からの、極めて上から目線の言葉ですね。                                                                                                     「日本の現状からすれば貧困のため(風俗店で)働かざるをえない女性はほぼ皆無、自由意思」というツイッターでの発言には大きな疑問を感じます。私は大阪の遊郭・飛田新地で働く女性約20人に話を聞きましたが、「自由意思」で入った女性など一人もいなかった。貧困だったり、まっとうな教育を受けられなかったりして、他に選択肢がないため、入らざるを得なかった女性が大半でした。経済発展を遂げたとされる現在でさえそうなのに、戦前においては言うまでもないでしょう。                                                                                                                                   橋下氏は「慰安婦を暴行や脅迫で拉致した事実は裏付けられていない」とも発言しましたが、あまりにも限定的な考え方です。慰安婦になる以外に選択肢がなかった女性にとっては強制以外の何物でもないんです。「軍の維持のために必要だった」という発言に至っては、戦争を容認している証し。正体見たりです。                                                                                                               苦しい事情を背負った女性の境遇、慰安婦に送り出さざるを得なかった家族の思い、社会的背景に心を致しているとは思えない。政治家の役割を果たしていると言えない。【聞き手・江畑佳明】                                                                                                         井上理津子:1955年奈良県生まれ。長年大阪を拠点に活動した。著書に「さいごの色街=飛田」 「大阪下町酒場列伝」など。

吉永みち子さんの「赤旗」の記事も添付しときます。

 

「論評に値せず!」と捨て置けるほど微勢力ではない。

論評に値しない!と多くの人が呆れている。維新の会橋下共同代表の最近の言動だ。                                                                                          右翼中校生程度の歴史認識に基づく浅識が、彼の場合「自己切開」「自国史検証」の自省的スタンスを欠いている為、どんどん肥大化して行く。                                                                                                                                                                    元々、発言する度に「調べもせず浅い情報と雰囲気で」思い込み内容を「事実」のように強い口調で言うので、次回には前回内容を一層強固に主張するしか道がない。そういうエンドレスのサイクルに入っていたのだ。その構図がとうとう政権党のカッコ付きの民主主義者や友党から「論評に値しない」と言い切られる事態に至った。

昨夏「橋下政治の本質」を、ぼくは「公的事業の一層の民営化・教育や福祉の場を競争一色に・効率化と言う名の「公」事業切捨て・その必然としての公務員労働叩き・新自由主義とナショナリズム」を「度し難い幼児性・独善性に基づく攻撃性と懲罰主義で強行する圧政」と、規定した文をブログアップした。                                                                                                                              今回、その幼児性・独善性・攻撃性は、奇妙な被害者意識とそれこそ自虐史観に立って「欧米も同じことをしたのに、日本だけが世界から非難されている」と展開される。「おかあちゃん、ボクだけが非難されるよ」と訴える狼少年虐めっ子の言い分のようだ。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   そういう主張こそが、「日本だけが世界から非難される」根拠なのだという構図が何故解らないのだろう・・・。                                                                                                                                                                                                                 従軍慰安婦問題・沖縄植民地観・侵略の定義・歴史認識・沖縄集団強制死に軍関与は無い・君が代斉唱強制・公務員バッシング・権利剥奪・教育の場の競争と強権統制・改憲・・・・                                                                                                                                                                                                それらは根が一つの事だとよく解る。それらは、やはり、別々にことではないのだ。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     そこを市民が理解できるように発信してくれたのだ、と橋下の「反面教師」振りを語るには、包囲は強固で逆クーデターは進行中だぜ!                                                                                                                                  開いた口塞がらない、言語道断、論評に値しない!で放ってはいけない。若い人に何が・何処が・どう間違っているか、伝えたい。                                                                                                                           

5月20日追記:                                                                                                                         現に朝刊の世論調査報告によれば、橋下発言を「大いに問題がある」とした人は32%、「ある程度問題がある」が43%、合わせて75%が「問題あり」と答えているが、安倍自民の支持率は上がり、参院選比例区投票先を自民とした人は何と49%と空前の数値を示している。                                                                                                                                しかし、日頃の言動や国会答弁に明らかな通り、安倍氏の歴史認識は橋下とほとんど変わらないどころか、一層強固で年季を重ねているのだから、「世論」なるものの二重・三重の屈折はこの国の深層実相か。                                                                橋下氏の妄言は「反面教師」どころか、逆クーデター勢力の「後方援軍」となって受け容れられるのだから「世」は怖い。                                                                                                                                                                                                         

橋下氏に進呈:                                                                                      弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。(弁護士法第一条)

 

逆クーデター、改憲、維新・・・その事態には共通する言葉が出てきますね。

安倍自民党の改憲への暴走は「まるでクーデターだ」と言われている。                                                                         通常のルールを一挙的に改変し、それまでの政権の権能範囲や国家の運営方法を                                  根本的に変えたい行動という意味でその通りだと思う。                                                                                                                                                      反政府勢力などによるクーデターと違い、政権に在る者が、より強大な権力を目指して行うような場合、                                                                                          通常のクーデターと区別して「逆クーデター」とか「自己クーデター」と呼ぶらしい。

歴史上有名な逆クーデターに、1851年のシャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルト(ルイ・ナポレオンと略されている。ナポレオン・ボナパルトの弟の三男、つまりナポレオンの甥))によるクーデターがある。                                                             1848年革命で、ルイ・フィリップの7月王政が倒れ、第二共和制が樹立されると、ルイ・ナポレオンはフランスへ帰国。大統領選挙に出馬。                                                                                                                                                                                                                    それまでボナパルト家の帝政復活を夢見て国外から発し続けたあれこれの策動(労働者階級の保護を主張し、貧困層にアピールした1844年の著作『貧困の根絶』は有名)の効果と、ナポレオンという圧倒的知名度によって、圧勝する。                                                                                                                                                                                                             この第二共和制は国民議会の力が強く大統領権限は比較的に弱かった。ルイ・ナポレオンにとっては「決められない政治」であり、議会に主導権を奪われ続けた名誉職的大統領であったらしい。                                                                                                                                                                          1851年、国民議会の解散、大統領権限を大幅に強化した「新憲法」制定などを強行して独裁体制を樹立。翌1852年には国民投票を経て皇帝に即位し、第二帝政を宣言、「ナポレオン三世」を名乗った。この一連の政変を一般に「ルイ・ナポレオンのクーデター」と言うらしい。                                                                                         ナポレオン三世は1870年、普仏戦争に突き進み、自ら捕虜となり、70年末からのプロイセンによるパリ包囲下、71年1月、フランス降伏。1871年3月パリ・コミューンが成立。

 

近隣・近年では、韓国第五代(~九代)大統領朴正熙(パク・チョンヒ)による1972年の「十月維新」も逆クーデターだと思う。                                                                                                  1971年の大統領選挙に金大中が新民党(当時)の正式候補として立候補したが、民主共和党(当時)の候補・朴正煕現役大統領(当時)にわずか97万票差で敗れた。朴正煕は辛くも勝利(実は金大中が勝っていたと言われている)したが、民主主義回復を求める金大中と背後の世論に危機感を覚えていた。                                                                                                                                                                                                                   (そんなさなかの大統領選直後、大型トラックが金大中の車に突っ込み、3人が死亡。金大中は腰と股関節の障害を負った。後に韓国政府はKCIAが行った交通事故を装った暗殺工作であったことを認めている。)                                                                                                                       1972年10月17日、突然大統領特別宣言が発せられ、国会の解散・政党の廃止・政治集会の中止などを決定し、韓国全土に非常戒厳令が布かれた。「十月維新革命」とも言う(21世紀日本には、大阪発の「維新」が居るなあ)。                                                                                                                                            政治活動が禁止され政党が廃止されるという戒厳令の中で「統一主体国民会議」が構成され、朴正煕は「我が民族の至上課題である祖国の平和的統一」のために 「私たちの政治体制を改革する」と宣言し、強制的に改憲が行なわれた。10月27日議決、11月21日国民投票で確定。12月27日発布。「維新憲法」という。                                                                                                                                                             そのとき海外にいた金大中は韓国に帰れば殺されると判断し帰国を断念。日本やアメリカの実力者と会見をしたり、海外在住の同胞達に講演したりして、韓国の民主主義と自由選挙を求める運動を行っていた。                                                           翌1973年、8月8日いわゆる「金大中事件」( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%A4%A7%E4%B8%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6 )が日本で起きている。                                                                                                                                                                                                                                                     後年、韓国政府・日本の警察庁がともにKCIAの犯行だと認めている。                                                                                                                                                                                                                   韓国では、その後、1979年10月26日に朴正煕が側近に暗殺され、崔圭夏大統領権限代行就任から12月6日統一主体国民会議で同氏第十代大統領に選出。79年12月~80年1月までの軍内部の乱(粛軍クーデター)、ソウルの春と呼ばれ全国に拡大した民主化要求、同5月17日全斗煥らのクーデタ-(非常戒厳令拡大措置、金泳三・金大中・金鍾泌ら逮捕)、5月18日光州市で民主化要求市民決起(光州事件)、軍の過剰鎮圧、へと向かう。8月、崔圭夏大統領辞任、9月1日、全斗煥、第十一代大統領に。

現在ある統治制度・統治機構・憲法や法体系では、自分たちの統治・支配が思うように出来ない、不都合がある、だから強権的に支配者・政権側が「上」から議会や法や機構を変更し、権限強化の「超法規」的処置を実行する。それが、逆クーデターなら、次の例はどうだろう?                                                                                                                                 ブッシュ・チェイニー・ラムズフェルドが推進した、「ガサネタ」で「大量破壊兵器はある」と米議会・国連騙しを遂げ、イラクへの攻撃を正当化した一種の「超法規」処置体制はどうなのか? 政権・米議会・国連の乗っ取り行動なのだが・・・。                                                                                                                                                                                                                                                   これもカタチは違え逆クーデターの変形だ。戦争したい、先制攻撃の名分は捏造する、国民は「敵に付くのか?民主主義防衛の側に付くのか?」と迫れば付いてくるさ、と多くの反対・国際査察団の忠告を無視して走ったイラク戦争開始への無法の行いは逆クーデターだろう。                                                                                                                      (このネオコン政権の余りのデタラメに、激怒した軍部の某将軍・某司令官らによるクーデターが実行直前だったとの説あり。)                                                                                                                                                                                                                                          (コリン・パウエル元国務長官は「人生最大の恥」とのコメントまで付けた「誤情報告白」を正規の公聴会でしている)                                                                                                        ところで自民改憲案、その改憲の内容に入る以前に96条からという裏技で攻める攻撃。国会議決のハードルを下げる、すなわち可決水準を一般法と同等にする。これは、立憲主義の否定。憲政の根幹の変更だ。                                                                        改憲の中身は「憲法三大原則」(基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄)の根本変更=解体なのだ。                                                                                                                                                                  ゆえに、逆クーデターではないのか。

日本国憲法 第九十七条:                                                                                                       この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、                                                                                                                                           過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 

 

国民栄誉賞と背番号96

背番号3氏は、愛すべきキャラクターの国民的スターだったが、                                                                                   背番号96氏はいただけない。

 

国民的に人気は高いが、遠の昔に引退した長島茂雄氏と日米野球界で活躍し引退した松井氏を引きずり出しての「国民栄誉賞」授与という、ややピンボケの、これまでの授与とは異質な儀式が去る5月5日:東京ドームであった。                                                                                                                                                                            授与式の後、投手松井・打者長島・捕手巨人監督原の「始球式」形式のパフォーマンスがあり、そこに登場した安倍首相は何と96番の背番号を付けてアンパイア役をしたという。                                                                                                                                                         「改憲は、96条から行くぞ」との決意表明だとネットにあった。国民栄誉賞は元々が歴代政権の「恣意的な」人気取り政策的面があったが、96番を付けるとはこの賞利用の魂胆を示して正直だとネットは言うが・・・。                                                                                                                                                                                                                                                                                  いや私は第96代首相でして・・・との言い訳も準備しているそうな。悪乗りの類だ                                                                                                                  

ところで、安倍首相の盟友にして、ある面で自民党の上を行くとも言える某政党の綱領から・・・。                                                                                                         どう読むかは各自の歴史観・世界観・思考の世界性によるので、好きに読むしかないかな。                                                                                           『日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる』(「日本維新の会」綱領)                                                                                                                                                                                                                                                                              えっ? 現行憲法ゆえに孤立しているというのは何時のどの案件を指しているのか?                                                                                                                     現行憲法ゆえに軽蔑されているというのは、いったい何処の誰から、どのように?                                                                                                                 そういう捉え方こそが「幻想」だろうが・・・!                                                                                                                                                                     かつて近隣諸国の主権を奪った者が後世にそれを伝える責務を放棄し、又、植民地として扱って来た一部地域の施政権を戦勝国に売り渡し(今なお全く同じ扱いを続け)たその日を、自国の「(擬制)主権回復の日」として祝うという神経。                                                                                                                                 その神経と歴史認識こそが、「孤立」を呼び込み「軽蔑」の対象となるのだとぼくは考えている。                                                                      

2012年12月、安倍首相街頭演説

 

我らと日本国憲法、共に1947年生まれだ。 死ねまへん!

自民党・維新の会・みんなの党が進める、「まず、96条から」は手続論か? そうではなく「国のカタチ」総体変更への入口だ。                                                                                                     両院で2/3以上で議決というハードルは異常か? 否! 米・英・独・仏・伊・韓を見よ。いずれも2/3に準ずる要件を課しているぞ!                                                                                                                       狙いは9条だけか? そうではなくすでに雇用・労政・教育・教育などの領域で、実質改憲を推し進めている者どもの、「憲法三大原則」={基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄解体の総仕上げ=公式放棄なのだ。                                                                                                                                      9条を含む総体変更・戦後民主主義の全面解体なのだ。「戦争」をできる国へ、天皇を元首とする民主主義否定の国へ、民の抗い・闘いを根絶やしにする国へ・・・・。それが「自民党草案」に堂々と書かれている中身だ。

現行憲法(青)と比較しながら、自民党草案(赤)が如何に「国のカタチ」変更・「憲法三大原則」解体への道であるか、あらためて見ておきたい。                                                                                                                                                  第一条:                                                                                                                【現行】天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。                                                                                                                                  【自民草案】天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

第三条:                                                                                                           【自民草案】国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。

第九条一項:                                                                                                               【現行】日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。                                                                                                           【自民草案】******最終行を変更********、国際紛争を解決する手段としては用いない(注:決意の削除)

第九条二項:                                                                                                                                                                              【現行】前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。                                                                                                                         【自民草案】前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない(注:集団的自衛権、米他同盟国の戦争への参加を想定)

第九条の二:(注:九条二項の削除に代わって新設)                                                                                                                            【自民草案】                                                                                                ①我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
②国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。 
③ 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。 
④ 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。 
⑤ 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。                                                                                                                                                                                                                  (注:その他の公務員{例えば国家公務員・府職員・教師} は国防軍の軍法会議で裁かれるのだ)

第九条の三:(注:総動員体制ですな)                                                                                                                                    【自民草案】国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

第十一条:                                                                                                                                                         【現行】国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。                                                                                                                                           【自民草案】国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。                                                                                                                                                                                                                                                                                                   (注:「妨げられない」を削除している。)

第十二条:                                                                                                                                                         【現行】この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。                                                                                                                                                           【自民草案】この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない

第十三条:                                                                                       【現行】すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。                                                                                                                                                                     【自民草案】全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない                                                                                                                                         (注:十二、十三ともに公益・秩序というが、誰が決めるのか? 為政者が決めたその公益・秩序に反していれば尊重しないと言っている。)

第十九条:                                                                                   現行】思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。                                                                                               【自民草案】思想及び良心の自由は、保障する                                                                                     (注:「侵してはならない」という為政者への強い縛り感の削除)

第二十条:                                                                                                              【現行】信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。                                                                                             【自民草案】信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。 
② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 
③ 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない

第二十一条:                                                                                                                             【現行】集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。                                                                         【自民草案】集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
② 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。                                                                                                                                                                  (注:「公益及び公の秩序を害する」ことを目的としていると為政者が認定した結社には、集会・結社・言論・出版その他一切の表現の自由を認めない、と言っている。そこでは、反原発デモ・イラク戦争参加反対デモ・辺野古移転阻止行動などあらゆる抗議運動・表現が、「公益及び公の秩序を害する」の一点で「認められない」のだ)

第二十八条:                                                                                                                     【現行】勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。                                                                                                  【自民草案】勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。

第六十六条二項:                                                                                                                               【現行】内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。                                                                                                   【自民草案】内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。                                                                                                     (注:元軍人OKと言っている。文民統制の空洞化)

第九十六条:                                                                                                                                                                                                                                【現行】この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。                                                                                                                                                               ②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。                                                                             第百条:                                                                                                                         【自民草案】 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。                                                                                                                                                                         (注:無効投票を量産し投票率50%を作り出せば、有権者の25%越で可決となる)                                                     ②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに憲法改正を公布する。                                                                                                           (注:「国民の名で」が消えている。)                                                                                                                         

第九十七条:                                                                                                       【現行】この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。                                                                                                                【自民草案】全文削除

九十九条:                                                                                                                【現行】天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。                                                                                      第百二条:                                                                                                                                 【自民草案】全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。                                                         ②国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。                                                                (注:憲法擁護義務の主体が、為政者と公務員から国民へと変更され、かつ天皇又は摂政という文言が削除されている。第一条で元首となっていることと符号するが、天皇は憲法の上に在るとしている。憲法が、国家と法を「縛る」最高法規であるという「立憲主義」の正面からの解体である。)

 

かつて国民を戦争へと煽った大新聞・テレビ等は、ここでも再び口を閉ざし、遠慮がちに「9条」だけを言っている。そうではなく「憲法三大原則」=基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄、の解体、国のカタチの総変更が着々と進んでいるとは、何故か言わない。                                                                                                                                岸信介の孫、安倍は「押し付けられた」史観DNAに基づき行け行けドンドンと走っている。事態は戦後そのものの否定とマスコミの協力の下、「改憲レース」第四コーナーを回っているのか?                                                                                                                                                                                            ジョン・ダワーは言っている(『敗北を抱きしめて』2001年、岩波書店)。                                                                                                                                           『押し付けたとすれば、日本国民とGHQ左派の「短期同盟」が、旧勢力に押し付けたのだ』と。                                                                                                 なるほど、今日の改憲勢力にとっては「押し付けられた」のだ。そういう者どもに「改憲」を「押し付け」られてたまるか!

 

Search