橋下氏の表現の自由・・・

憲法21条:                                                                                                                       1、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。                                                                                                           2、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

橋下氏の一連の言動に対して大阪弁護士会所属の弁護士たちが、大阪弁護士会に「懲戒請求」を起こす予定だ。                                                                                                                                         懲戒請求の準備を進める弁護士によると、橋下氏の慰安婦に関する発言と、在日米軍に風俗業活用を求めた件は、基本的人権を無視し、女性を差別しているなどと指摘。弁護士法が規定する「弁護士の品位を害する行為」に該当するとしている。同弁護士会は請求を受け、審査の対象とすると判断した場合、懲戒委員会で業務停止や退会命令などの処分を決める。                                                                                                                               これに対して橋下氏は「まあ、これだけ表現の自由が守られている世の中で、発言、表現だけをとらえて懲戒請求を出すことのほうが、それこそ懲戒請求もんだ」 「今回は国政全般と歴史認識に関する個人の見解だ。それについてまで懲戒請求をやるっていうのは、ここまできたら懲戒請求の乱用だ」 「表現の自由に対する強烈なプレッシャー、重大な挑戦だ。弁護士がやることか」と反論している。

表現の自由? 特定の個人に向けた発言ではない?                                                                                                                                                       ここ数年街頭にまで登場して「特定の立場」の人・存在に対して、「表現の自由」(?)を盾に「劣等民族」「害虫」「奴隷の子孫」「国へ帰れ」「殺せ:」と叫ぶデモに遭遇、眉を顰めた経験を持つ人は多いだろう。                                                                                          これが、表現の自由の範囲内か?                                                                                                                   特定の集団や個人に対する不寛容・排除を煽る言動(ヘイトスピーチ)は西ヨーロッパでは厳しく規制されている。                                                                                                                                                                                       表現の自由は、あくまで他者も同時に持っていよう自由を排撃しないか、他者の基本的人権の否定・排除・攻撃の為の表現ではないか、「公」的公平性を維持しているか、現実に行なわないまでも刑事罰対象の犯罪に当たる行為(圧政に対する民衆の抗いを除く)を主張していないか、など多くの前提の上に保障される。

5月13日の橋本発言発端に際して各党が見解を述べたが、ここでは公明党山口委員長が、あれこれ橋本発言への解説を省いて最も的確簡潔に述べていた。「弁護士法第一条はこのように言っています。」と紹介した。公明党が好きなのではないが、これは的確だった。                                                                                                                                                                     『弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする』                                                                                                        この度の、大阪弁護士会への懲戒請求は妥当だと思う。                                          

ところで、橋下・石原・その他の発言で唯一「その通り」なのは、「軍と売春っていうのはもうつきものでね、歴史の原理みたいなものでさ。・・・」(5月14日、石原氏)だ。 その通り、それが戦争だ。戦争史を紐解けば、欧米・アジアを問わずそれが戦争なのだ。                                                                                                                                                                                                                              だから、どうなのかを言わぬまま「つきものなのだ」だけを言うなら何を言ったことにもならない。                                                              友人の友人である、優れたフリー・ライター井上理津子さんの毎日新聞特集ワイドのインタヴュー記事を掲載させていただきます。

差別、階層社会を肯定−−  フリーライター・井上理津子さん(毎日新聞 5月16日 東京夕刊)                   

一連の橋下氏の発言は、社会的弱者への差別や階層社会を肯定していると受け取らざるを得ません。「慰安婦になってしまった方への心情を理解して優しく配慮すべきだ」とも言いましたが「支配階層」からの、極めて上から目線の言葉ですね。                                                                                                     「日本の現状からすれば貧困のため(風俗店で)働かざるをえない女性はほぼ皆無、自由意思」というツイッターでの発言には大きな疑問を感じます。私は大阪の遊郭・飛田新地で働く女性約20人に話を聞きましたが、「自由意思」で入った女性など一人もいなかった。貧困だったり、まっとうな教育を受けられなかったりして、他に選択肢がないため、入らざるを得なかった女性が大半でした。経済発展を遂げたとされる現在でさえそうなのに、戦前においては言うまでもないでしょう。                                                                                                                                   橋下氏は「慰安婦を暴行や脅迫で拉致した事実は裏付けられていない」とも発言しましたが、あまりにも限定的な考え方です。慰安婦になる以外に選択肢がなかった女性にとっては強制以外の何物でもないんです。「軍の維持のために必要だった」という発言に至っては、戦争を容認している証し。正体見たりです。                                                                                                               苦しい事情を背負った女性の境遇、慰安婦に送り出さざるを得なかった家族の思い、社会的背景に心を致しているとは思えない。政治家の役割を果たしていると言えない。【聞き手・江畑佳明】                                                                                                         井上理津子:1955年奈良県生まれ。長年大阪を拠点に活動した。著書に「さいごの色街=飛田」 「大阪下町酒場列伝」など。

吉永みち子さんの「赤旗」の記事も添付しときます。

 

One Response to “橋下氏の表現の自由・・・”

  • 松尾洋子 says:

    一連の橋下発言で浮かび上がってくること、彼の発言の核心は、「今現在、日米安保維持のために沖縄で最も必要なのは、風俗という名の売春であるのは自明のことである」ので、それを言うためにかっての日本軍の「慰安婦」とされた人たちのことまで持ち出して語ったということだと思います。

    一人の政治家として、自国の安全のために自国の女性を、かつての先勝国の男に差し出しますからよろしく、と言っているのです。日米安保が何なのか、今どんな意味を持つのか、また自国の安全とは何なのかについてほとんど何も語らないままに。
    また彼は、自分の子供にも、同じことー「正しい性の処理の仕方」を教えると言っています。私は、このような父をもった子どもの精神状態をとても危惧しますし、将来にわたって周りに与える悪影響についても様々想像して、ぞっとします。
    しかし、このような人たちとの間にどんな言葉が有効なのか

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