たそがれ映画談議:『タクシー運転手ー約束は海を越えて』

民の「公的記憶」の底力を想う。
この列島では60年安保は遠い記憶か?
オイルショック・バブル崩壊が「公的記憶」か?
敗戦は、旧支配層+GHQの統治論=「国体護持+偽装民主主義」「菊と星条旗」(白井聡)の異形のマジカル・アクロバチック憲法を生んだが、民の自主的選択ではなかった。
そんなことどもを想った。

昨日、梅田ブルク7で観て来た。
1980年、ワシの同時代の記憶を辿れば、当時、偽装破産攻撃に抗して職場バリケード占拠・労組自主経営の4年目で、ようやく食える状況を生み出していた初夏だった。
知人から「血の光州から画像などを携えて脱出、日本経由でアメリカへ向かう青年二人を支援する団体に、渡航費用の一部をカンパしてやってくれないか?」と課題を持ち込まれ、組合で論議して乏しい財政から10万円出した。
知人からはその団体や当の二人の青年の詳細は、ヤバイからと知らされなかった。
アメリカへ渡った二人が、資料を公開し何らかの書物に昇華されるはずと信じた。
当時、必死のパッチの仕事確保・現場業務(店舗設計施工という元の会社と同一業務)に追われ、また知人とその団体の素性を疑うようで詮索っぽい問いを控えた。
年月が経ち、新たな課題などに忙殺されその件は途中霧散だ。それが悔しいが、もし青年二人の決死の行動が何らかのカタチに至っているなら嬉しい。
知人Tとは音信不通、団体は今も知らない。青年二人の努力の結果は知りたい。
Tと団体、このFBを観たら頼むから、その後を聞かせてくれ。
ワシらの歴史の空白でもある。これがその成果ではないか?との情報ある方連絡下さい。

ソウルへの帰路、検問の兵士が光州ナンバーのタクシーのトランクに「ソウルナンバーのプレート」を発見し、黙認して通過許可するシーンがある。兵士の対応に、映画作者の「希い」のような想いを読んで胸が熱くなった。 鎮圧部隊とされる陸軍空挺部隊、軍内部の屈折・抗争、全羅道と慶尚道とのそれこそ古代以来の地域対立、赤色暴動だとの刷り込み・・・・・市街鎮圧部隊の暴虐にはねじれた要素もあってワシには解からん。が、この兵士は「ソウルへ情報を届けてくれよ」と願ったか、市街の暴挙に憤りを抱いていたか、光州出自の兵士だったか・・・いずれにせよ、危険を冒して理のある反応を示す。それは、半島の「民」の「希い」を代表しているように思えた。その想いに、先般の文在寅*金正恩会談に関する懐疑的見解への、ワシの知る在日の友たちの切情反応が熱く重なった。

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