たそがれ映画談義: 『日本のいちばん長い日』

8月8日、映画『日本のいちばん長い日』が公開される。

原田真人監督、半藤一利原作。

ポツダム宣言受諾を巡る、軍強硬派・政権中枢・宮内庁の闇闘のノンフィクションだ。

かつて(1967年)、岡本喜八監督の手によって映画化された。確か、大宅壮一原作とあった。今回、原田が映画化した。日本の

原田真人監督、いくつか好きな作品がある。原田真人 作品

『さらば映画の友よ』(1979):

全共闘シンパの青二才(副主人公浪人生)のふと言ってしまった気分・グチ「(俺が恋する彼女=<若き日の浅野温子>をイロにしている)(あのヤクザを)殺してやりたい」を実践してしまう、元映画大部屋俳優・うなぎ屋職人(主人公:川谷拓三)の、ヤクザ親分刺殺。青二才との約束(?)に賭けた「思い込みの美学」「一匹狼の言行一致」。ヤクザ刺殺の現場には、何と「東大安田講堂攻防戦」の実況中継がTVかラジオから流れているのだ。青臭いボクへの痛烈な皮肉だと想えた。

『バウンズ ko GALS』(1997):

渋谷の街で「援交」を巡って、銭は奪うが体は許さないという荒稼ぎ。ヤクザを敵に回し動く、3人娘の痛快活劇。インテリヤクザが元全共闘(役所広司)で、その知的仲間らしい桃井かおり。自嘲気味にインターナショナルを唄ったりするのだが、桃井が出て来ると(『われに撃つ用意あり』もそうだった)、ホンマぽくってだから嘘くさいのだが、主人公の3人娘は、役所・桃井を超えて鮮やかだった。まぁ、寓話だが、ここでも全共闘の無惨を言っていた。

『クラーマーズ・ハイ』(2008):

地方紙記者の矜持と、読者獲得・全国紙への対抗心・言論内の政治的忖度との葛藤、などが重厚に描かれていて、好きな作品だ。これは原作の力か?

 

今回の映画化、役所広司のインタヴュー「一人責任負った阿南に共鳴」などから、阿南陸相を称え、アジアへの視線の欠落・対米戦争だけを特筆、また天皇の「積極関与言動」を免罪する映画なのかもと不安もあるが、「軍をなくして国を残す」と言ったとされる阿南陸相の言葉を引用した原田のコメント記事を読んで、観ようと思っている。原田真人 記事

前天皇の、対中戦争~日米開戦前夜~真珠湾奇襲~ミッドウェイ海戦~サイパン陥落~沖縄戦~ポツダム宣言受諾、都度の言動は戦後いくつか明らかになっている。「ご聖断」の時期によっては、大空襲・沖縄・広島・長崎は避けられたのだという指摘や、戦後アメリカに沖縄を進んで差し出したという言動証言が、本木雅弘という端正なマスクの誠実青年の起用をもって歪められるのか? 気がかりだ。ポスターの各コピーにその傾向を観てしまふ。

 

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