ほろ酔い交遊録: 聞き流すのも 過剰に関るのも罪なんだ

懇意にしていて、互いに現場推進を巡って相談もし信頼し合って来た職人さん(36歳)が独立すると言う。複数の子を抱え、妻は看護師。その関係で、子を看る時間の確保、早朝からの現場、深夜業・・・その遣り繰りの労苦を見聞きして来た。そうした若い「家庭」の実情に加え人を雇っての起業。その進め方に自分を観るような気分だった。                                                                                                                                                                                          一般的には無理だ!親方も認めてくれたそうだ。差し障りがあるので職種は秘す。現場 LGS                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  ぼくの中に、七年前、最初に会った時20代前半に見えたイメージが残っていて、彼は今でも30歳前に見える。独立をどう思うか訊かれたので、いくつか不安材料を言った。                                                                                           客先は?倉庫は?車は?人を雇うの?資金は?技量への自信は? 懸念材料ばかりを並べ立てた。                                                                                  話すうちに、会話は「推進」対「阻止」へとエスカレートしてしまい、たぶん傷付けてしまった。

振り返れば、自身30代に、岐路に際して年長者の言を聞き入れず、それこそ女房の反対論も封殺し、結果ことごとく「失敗」して現在(いま)がある。                                                                                                                                                                                                                                         考えて見れば、彼は36歳。ぼくが、破産法下の職場占拠闘争を開始したのも、その中で労組による起業を果したのも、未熟者が運動体の役を引き受けたのも、いずれも30代だ。                                                                                                                                                                                                                                                                                  最後に「ぼくに、あなた自身の人生が失敗だったと言ってるんですか?」と返された。

もっと遡れば、学生期、まわり道をして大学へ来て、歳だけ食っていて理論も経験もない無内容を悟られまいと、ガムシャラに動き、客観的には人が避ける「ヤバイ」事象に進んでのめり込んで、「穴埋め」したのも事実だ。そう、無理していたのだ。そのことへの自省はあるが、後悔は無い。

若い人の出発に際して、懸念材料や不備をシッカリ伝え、総論としては応援して送り出す。                                                                                                     これ、至難の業だ。が、応援(何もできないが)はしたい。                                                                                                                                                                                    起業による負担増は、妻の一層の協力が求められるが、看護師という職種の勤務状況の変化は?と話を進められぬまま彼は会話を打ち切った。                                                                                                                                                                                                                      36歳の成人を若く観てしまうぼくも、我が息子より若く見える彼も、罪(?)と言えるか?

いつか、彼の選択が実を結び、ワシの感情移入の愚を含めて笑って話せたらいいのだが・・・。

 

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