ぼやき: 桜宮高校バスケ部キャプテンの「過労」自死と 『教育再生会議』

「体罰」を生み出す社会・思考・制度を推進する者たちが、何言うとんじゃ!。

大阪市立桜宮高校の強豪チーム、バスケット部キャプテンが自殺した。顧問の度重なる「体罰」に耐えかねての自死だということは、遺書や他の部員自身の体験や目撃談からも明らかだ。顧問の、名門クラブの水準を維持したい・維持しなければならないという強迫観念と、関係者(父母・OB・バスケット指導業界など)の評価を高めたい名誉欲と失敗や不出来への苛立ちが、集中してキャプテンに体罰を加えるという形で常態化していたようだ。「一罰百戒」と言う名の「軍隊式恐怖統治論」だ。                                                                                    熊沢誠著『働きすぎに斃れて』(2010年、岩波書店、¥3200)に登場する、本社のモーレツ主義管理職に追い立てられ、現場のメンバーを統率し、寝る間を削って率先して多分野の業務をこなし、その激務に斃れた、外食産業の「名ばかり店長」の無念の自死を想いおこした。現在、日々労働現場で起きている「強制過労死」の「学校スポーツ版」に思えた。社会を覆う、連帯責任・成果主義・共助の解体・自己責任論に通じる問題なのだ。                                                                                                                    たまたまぼくには、近親者に二人、体育クラブ顧問という立場の者がいるのだが、強豪でも名門でもない公立中学・高校の教師だ。時には強豪を倒したり、県大会で勝ち進んだりして、部外者のぼくなども大いに盛り上がりもするのだ。彼らは、強豪校・伝統校なる部の顧問の重圧は想像できると言っている。「しかし体罰はなぁ~・・・。有効ならOKと言うわけやないけど、そもそも効果ないで」とも言っている。                                                                                                                                                            その近親者二人は、中学時代「アンチ体罰思考」の顧問(そのチームは中学校としてはその競技の名門だった)に出会い永く指導を受け、今も親しくお付合いしているそうだ。その顧問との出会いが職業選択にも影響し、人生観の基礎を作ったとも言えようか…。

この事件に「出番だ!」とばかりにシャシャり出て「体罰」を口撃なさる市長:橋下維新代表だが、あんたの「全面服従強制」「思想信条良心の自由の否定」「課罰主義」「密告奨励」は、肉体的暴力は伴わないが、つまりは「学校体育クラブ」における「体罰」をさらに陰湿化した統治ではないのか。そんなあんたに「ぼくはラグビー部での体験から言うのですが、体罰なんか効果ないんですよ」などと言って欲しくない。                                                                                             『体験から言うのですが、「一握りのレギュラー」ではない部員、つまり市民・住民と直接接し向き合う、「キャリア幹部・エリート」ではない職員が、活き活きと働く場を作り出すことの意味や方途を考える道筋を、今回の事件は教えてくれます』といったコメント出してみなされや。

元巨人の桑田投手の発言:                                                                                                         今回の自殺問題に関し、桑田さんは2013年1月11日のNHKインタビューで、
「小中学校時代は練習で毎日殴られていた」と話す桑田さんは、その経験を踏まえて「私は、体罰を受けなかった高校時代に一番成長しました」「よく体罰は愛情だと言いますが僕は愛情だと感じることはなかった」と強調した。その上で、体罰は手っ取り早い安易な指導法であり、「いろんな角度から説明する指導方法のほうが難しい」「僕は体罰には反対です」と明言した。                                                                                                                        

安倍首相も教育再生会議のメンバーも、この事件に言及して「体罰の一掃」などとほざいている。ちょっと待ってもらおう。                                                                                                                                                       教育再生会議(再生という名は例の「取り戻す」論の教育版ですか? どこへ向けて、どう再生するん?)の新メンバーを見て驚き。                                                                                              侵略戦争肯定の「新しい歴史教科書をつくる会」元会長。男女共同参画を攻撃する反「ジェンダーフリー」急先鋒 八木秀次高崎経済大教授。                                                                                           沖縄戦での集団強制死はなかったとする著書を出版し、教育現場での「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を主張した 曽野綾子氏。                                                                                                               改悪教育基本法に「愛国心」を盛り込むことを主張した全日本教職員連盟委員長の 河野達信氏。など・・・                                                                                                                            「靖国派」「つくる会」が名を連ねている。安倍政権の公約である教科書検定基準の「抜本的な改善」への布石だ。                                                                                                                                                          ところで、『南京大虐殺は無かった』 『「従軍慰安婦問題」に日本軍は関与していない』 『沖縄の集団強制死に軍の関与は無い』などなど、                                                                                             それらはどれもみな、暴力と強権による支配が起こす、人権抑圧・思想と行動の強制・究極の「体罰」(罰ではないが)じゃあないのか!?。                                                                                                      この人たちに今回の事件から教育云々など語る資格はない!自国の歴史と真摯に向き合わないところに教育も無い。                                                                                                  

【21世紀辞書:た行】                                                                                           体罰:                                                                                             伝達能力向上への努力・工夫を怠り、その研鑽に努めない者が、
暴力・体力・財力・地位力などを総動員して 私心を遂げようと行使する物理的強制力のこと。                                                                               体罰、それ罪なきゆえに罰にあらず。一種のハラスメントなり。
また、橋下大阪市長の、予算執行権・人事権を武器にした桜宮高校体育課入試中止や教員総入替                                                          という強権対処こそ、言葉の本源的意味合いにおいて、真性体罰なり。
                                                                                                                                         

                                                                      

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