つぶやき:ヨーロッパには民衆蜂起の記憶があるが、日本には・・・と言うけれど

何の何の、パリ・コミューンのころの日本では・・・

パリ・コミューン1871年は明治4年だが、明治3年という年に、引っ掛かるような感覚の記憶があった。                                                                                    故・脇田憲一さんが最期まで語っておられた、ご郷里=小藩:宇和島藩の一揆、それが明治3年だったと思い出した。                                                                                                                                 脇田さんには、ぼくが関与した勤務先の組合潰し偽装破産と職場バリケード占拠闘争・その中での自主管理運営、それへのご助言、                                                                                                                              駄小説執筆に際しての実際のご体験の述懐、資料提供や逸話のご紹介・・・、多くの場面でお世話になった。                                                                                 (脇田憲一著作の書評: http://homepage3.nifty.com/luna-sy/re37.html#37-2 )                                                                                                   

脇田さんは、1870年(明治3年)4月~の宇和島藩の「野村騒動」「三間騒動」など一連の維新後の全藩的一揆は、                                                                     打毀しから「庄屋征伐」と呼ばれる蜂起に至る、自由民権運動とも連動する世直し運動であり                                                                                     「これは宇和島コミューンである」と言い続けておられ、                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       「宇和島コミューン」に、現代左翼の混迷を解くヒントや再生の可能性を見定めておられた。

明治初期にはまだ産業社会は始まったばかり、農民は85%前後(ちなみに江戸末期の武士比率は約7%)だった。                                                                                                            工場労働者ではないし、プロレタリアという括りには無理があるが、八割を超える農民が封建国家の財政と一割以下の武士の「食」を支える生産者層であったことは間違いない。何が「ジャパン」だ!                                                                                                       宇和島藩の世直し運動は、貧農小作だけでなく富農・庄屋層・元武士・新政府県官吏や調停に奔走した初期自由民権派インテリまでを糾合する陣形で闘われ、一時新政府県令に要求項目を呑ませ休戦協定を結び、自治が始まる手前まで行ったという。やがて、廃藩置県で全国に配置された新知事の協定破棄の騙まし討ちと武力を伴う強権的指揮に敗北を余儀なくされる。

脇田さんは言っていた。宇和島コミューンは、現代で言う、生産労働現場・消費や居住の生活現場・生活困窮者の自立・地方自治や地域課題への市民運動などを、守備範囲に抱えていたぞ。今日、例えば労働運動は、何故「非正規雇用者の問題を我が事とできないのか」、勤務先の事情に縛られてか電力産業からの真綿の支配が強大なのか、大企業労組は何故「反原発を打ち出せないのか?」と問うておられた。                                                                      http://blog.goo.ne.jp/hama8823/e/68d203c92ddcdeb5635d6f255abb17c5                                                                                                                                                                                       脇田さんは、職場の利害から出られない(出ようとしない)労働運動、自身の働き方や労働の影響結果(例えば公害・農薬漬け・騒音・道路公害など)を質せない(質さない)住民運動、自らもまた生産者であることを忘れ、時に消費者エゴに終始しがちな複眼を失った生協とその組合員・・・・、                                                                                                                        これら互いが互いを問い合う(気付きあう)緊張関係を内に抱えもって融合する思想と行動が、自治・自営・共助のコミューン思想だと語られ、                                                                                                                                          地域のコミュニティ・ユニオンなどといっしょになって「トータル・ユニオン」を提唱され結成された。                                                                                               脇田さんは、故郷宇和島の明治初期の一揆に在った叛乱と自治・コミューン思想に現代への教訓を求め続け、最後の十数年                                                                                                                                                                               ライフ・ワーク「宇和島コミューン評伝」の調査・執筆に没頭され、その完結に至ることなく2010年11月他界された。ご無念だったと思う。合掌!                                                                                                      

明治維新に対して「自由民権一揆」という歴史的位置・・・。ならば今、あの「維新」に対して、どんな位置取りを作り始めるのか・・・ぼくらは。

明治初期の民衆運動、明治に入ってからの一揆・世直し運動(http://www004.upp.so-net.ne.jp/pre_toke/religion/nenpyo/chronological_table.htm)の多くが旧・武士階級:不満士族の反新政府行動に誘発されたという見解に、強い異論を語られたのだがその時の言い回しを憶えている。                                                                                                                            『そういう見解は、パリ・コミューンは、対独講和反対や反独ナショナリズムや                                                                                       パリ恋しの愛国思想によって成り立っていたと言うのと同じです。                                                                                                                           市民の側の主体性を見たくない者の偏見に満ちた言い分です。                                                                     中国革命のヘソは満州族「清」王朝に対する漢民族の反「清」民族主義だとか、                                                                             60年安保闘争は戦勝国アメリカ憎しの反米ナショナリズムによってあんなに盛り上がったとだけ繰り返す、                                                                                                                       叛乱する民の心を知らない者の発想です。確かに、叛乱の時期というのは、主体の側で制御し通せるなら                                                                                                                                                                                                                                                                  ナショナリズムが叛乱にとって援軍でもある、と相場が決まっていたのも事実やね。けれど、それらは一要素であって核心ではない』                                                                                                                                                                                                                              民族主義やナショナリズムとは切れていただろう、農民層の反政府蜂起の例として、「秩父困民党」の闘争を想い出す。

【追記】                                                                                                           1884年(明治17年)、                                                                                            11月1日~11月9日、自由民権運動影響下の                                                                             秩父困民党による農民層の対明治政府武装蜂起(いわゆる「秩父事件」)。                                                                                                    この事件を知った高校生期、「秩父コンミュン党」とダジャレってた。                                                                                                          http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id320687/                                                                                                               http://www.amazon.co.jp/%E7%A7%A9%E7%88%B6%E5%9B%B0%E6%B0%91%E5%85%9A%E7%BE%A4%E5%83%8F-%E4%BA%95%E5%87%BA-%E5%AD%AB%E5%85%AD/dp/4404032420                                                                                                http://www.youtube.com/watch?v=RRx8EBp6eMk                                                                                                                                                                            http://books.google.co.jp/books/about/%E5%BE%8B%E7%BE%A9%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%81%A9_%E4%BB%81%E4%BF%A0%E8%80%85.html?id=G5gyAQAAIAAJ&redir_esc=y                                                                                                                 http://books.google.co.jp/books?id=rKrTAAAAMAAJ&hl=ja&source=gbs_book_similarbooks                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

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