歌「100語」検索。 ②<空>

先週、取引先のある女性社員が退社した。彼女は、ぼくの社への仕事発注の窓口の一人であり、何度か仕事をいただき、現場の労苦を共有した間柄だ。永年考えて来た「やりたいこと」に転進するそうだ。                                                                                                             是非送別会に出席したかったのだが、現場事情で果たせなかった。                                                                        伝え聞くところでは、彼女は送別会の最後の挨拶で 空のようでありたいです。だって、歌の歌詞でも空だけは特別でしょ、いつも人間の夢や希望を表している。そんな言葉は他にありません」 と語り、続けて、号泣して仲間への感謝を述べたそうだ。実際、その会社は「仲間」意識「共助」風土が生きている今どき稀な会社なのだと思う。                                                                               

彼女には特別の思い出がある、2年前のことだ・・・。当時、確か27歳だと聞いた記憶がある。                                                                                                       ぼくが「大人を示そう」と柄にもなく無理をして、我が半生(おっと4/5生だが)でたぶん唯一の、「大見得」を切って演じた「品川ジジイ:奮闘キザ篇」の一幕だ。 施工引渡しの日、お施主様・元請担当者である彼女・総合下請会社の管理者ぼく・現場施工の各工事者、皆が笑顔で「出来映え」に納得して談笑していた。と、彼女が施主から別室へ呼ばれた。嫌な予感・・・。                                                                                                                                                                                                                         数分後、彼女が沈んだ表情で出て来た。打合せや施工に不備があったのだろうか、別室で施主側担当者から詰め寄られたようだ。                                                                                                       やがて彼女はこちらへやって来て、泣き顔で言う。                                                                                                  「品川宿さん、すみません。出直しになりますけどやって下さい。図面確定後に、ドアがギャラリ付き(通気の為)に変更になっていたのです。それを私が伝え忘れてました、ゴメンナサイ。」                                                                                                                                              口頭約束は、図面化または書類化しておかないとこうなる。その穴埋めは安くはない。小さく短工期の現場ほど、それが抜けてこの種の失敗が起きやすいのだ。かく言うぼくにもこの種の失敗は山とある。今回、取り返しの付かない重大ミスではなかったのが不幸中の幸い。
3日後にドアを実費の半額(つまり当方も負担)で取り替えることとし、帰路、駅のガード下の居酒屋での「ちょっと一杯」と相成った。

「私、この仕事に向いてないみたい。キャリアもないし、思い違いや失敗ばっかり。品川宿さんにも迷惑かけてしまい申し訳ありません。仕事の成約に汲々として、押さえるべきいろんなことがしょっちゅう抜けてしまうんです。 ワタシ、最低!」。                                                                                                             ここで、品川ジジイが、下心ゆえにでもなかったのだと信じて欲しいがキザな迷セリフで「人生を語る」(?)わけだ。                                                                        品川ジジイは、労組運営・労組による会社経営ではついぞ出来はしなかった姿勢、その欠落・空白を埋めるように、歯の浮く科白を吐くのだった。                                                                                                                                                    「思い違いや失敗の数こそが、(現場施工の)この仕事の蓄積、つまりキャリアです。もし、ぼくに、あなたより多く持っているものがあるとすれば、それは思い違いと失敗の数だけ。心配ご無用。あなたは今日、確実にひとつのキャリアを積んだのです。」(臭)。{けど、本心ですよ}                                                                          真っ赤になった女性社員の目は潤んでいた。                                                                 (品川ジジイは、一度やってみたかった、篠原涼子登場のオリックスCMの上司的役回りを、ぎこちなくとも精一杯果したという訳だ。)                                                                                                                       

一年後、彼女は連続して女性トップの成績を上げ、部下を三人持つ立場になって行く。その彼女が先週退社した。よほどの「やりたい」ことがあるのだろう。 それとも・・・。                                                                                               が、彼女ならきっと乗り越えて行くだろう。そのうち、ゆっくり呑みたいものだ。                                                                             ***************************************************************************************************

 本日のお題は「空」。17曲にもなってしまったが、確かに「空」は特別です。                                            

                                                                                                   『悲しくてやりきれない』 http://www.youtube.com/watch?v=8JG0S9v2Yg4 おおたか静流                                                                            『青空』 http://www.youtube.com/watch?v=yXrj2DyJhlQ ザ・ブルー・ハーツ                                                                『雨が空を捨てる日は』 http://www.youtube.com/watch?v=5YwbH38eh8g 中島みゆき                                                                          『空に太陽がある限り』 http://www.youtube.com/watch?v=Z2B1tVf_5fA にしきのあきら                                                    『紅の翼』 http://www.youtube.com/watch?v=hBB9fNzmCy4 石原裕次郎                                                                                     『夢をあきらめないで』 http://www.youtube.com/watch?v=PW_kP5uwp7A 岡村孝子                                                        『熱き心に』 http://www.youtube.com/watch?v=_rxCSH43QT8&feature=related 小林旭                                                                         『異邦人』 http://www.youtube.com/watch?v=cIsCifnFy9Y 久保田早紀                                                                     『島人ぬ宝』 http://www.youtube.com/watch?v=h9Lg3dHFfsM BEGIN                                                                  『学園広場』 http://www.youtube.com/watch?v=ap-UabxvIR0 舟木一夫                                                           『赤い風船』 http://www.youtube.com/watch?v=VDpExFJNVRI 加藤登紀子                                                                    『星空のディスタンス』 http://www.youtube.com/watch?v=3ZaRYf2ebyA アルフィー                                                  『星屑のステージ』 http://www.youtube.com/watch?v=3E0uI2WZZTo チェッカーズ                                                               『翼を下さい』 http://www.youtube.com/watch?v=34JsHTl9oFU&feature=related 赤い鳥                                                                      『空も飛べるはず』 http://www.youtube.com/watch?v=h-kQw4JqCHE スピッツ                                                         『この空を飛べたら』 http://www.youtube.com/watch?v=Gyh4Q7y7YME 加藤登紀子・中島みゆき                                                             『芭蕉布』 http://www.youtube.com/watch?v=StMZxCpre-k 夏川りみ                                                                                                             *添付画像は、1956年:フランス映画 アルベール・ラモリス『赤い風船』より

One Response to “歌「100語」検索。 ②<空>”

  • こうじ says:

    この女性のことは、聞いた事があります。
    よく覚えています。
    退職されても
    品川宿様のお言葉は
    励みになって
    新しい世界でも
    ご活躍されることと思います。
    私も、頑張らねばっ!!

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