たそがれ映画談義:『サイドカーに犬』

「サイドカーに犬」 2007年、監督:根岸吉太郎、出演:竹内結子、松本花奈、ミムラ、鈴木砂羽。
 
あるアンケートによれば、日本の男の理想の女性は、
吉永小百合さんとルパン三世の峰不二子だそうだ。
竹内結子演ずるヨーコさんは、その両方を兼ね備えた女性で、
原作者と根岸監督の理想の女性なのだろうか……? 
小学校4年生の女の子:薫にとっても、ヨーコさんは特別だった。
母の家出期にやって来た父の愛人ヨーコさん、ときに熱く豪快大胆で大雑把。
ときに泣き虫で、小学生の薫にも解りそうに見えて、謎だらけのヨーコさん。
「大人の女」「かくありたい女性」「カッコいい女」たるヨーコさん。
どちらかと言えば引っ込み思案の薫と、ヨーコさんの規格外の生(ナマ)の個性とが
スリリングに火花を放ってひとつの連帯関係を結んで行く。
「同性」や「同志」としての年長者への目線なのかな。
少女の感受性、邪心も色眼鏡もなく 人を見分ける眼の確かさこそが、
作者の分身たるダメ親父の望むところに違いない。
日差し・土の匂い・アイスクリーム・汗・・・、ヨーコさんに教えてもらって初めて乗った自転車・・・。サイドカーに犬
セリフやストーリーを越えた、映像・音・間(ま)・沈黙、それらが醸し出す映画独自の表現「文法」。
女の子薫の、クラクラするほど刺激的なひと夏。子供から少女へ向かう時間の、はかない値打ちが伝わって来て見事でした。
薫を演じた 松本花奈ちゃんに、90点あげたい。

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